• 秋月 偲希

【ぶかぶかのくつ】

履き慣れないくつ 

小さいときあこがれた、あのくつ

あのとき履いたら転んで泣いた

憧れた世界には近づけているだろうか

わたしがよくそのくつ履くものだから、

そのくつの持ち主は、それを5歳の誕生日プレゼントにしてくれた

けれども、まだまだブカブカだ

早く履けるようになりたくて、ずっと部屋に置いといた

大人になった

やっと履ける日がくる

シンデレラはこんな気持ちだったのかな、なんて

ドキドキしながら足をいれる

「まあ、ぴったり!」

お芝居のような言葉が自然と口から飛び出す

大切な日にはこの靴をはいてでかけるようになった

大事に大事にしていた憧れの靴

丁寧に扱ってきたから、まだ履けるけど、

もう、今日でさようなら

大切なものも、わたしは捨てる

もっと、大切なものを手に入れるためなら