• 秋月 偲希

【めざめ】

ぼくには、おにいちゃんがいる


憎しみをエネルギーにしたヘイトにいちゃん


悲しみをエネルギーにしたサッドにいちゃん


怒りをエネルギーにしたアンガにいちゃん


嫉妬をエネルギーとしたジェラにいちゃん


ぼくたちは人間たちの同じ性質の感情をエネルギーとして生きているんだ


ぼくは、まだ子どもだから自分が何の性質かわからない


早く大人になりたいから、自分の役割を探しに旅にでようと思う!



はじめて人間の世界にやってきた


人間からもらってるエネルギーだもん


近くで観察してみよう


サッドにいちゃんに貢献してる女の人がいる


「ねえ、お姉ちゃんどうしたの?涙なんか流して」


「好きなひとに振られたの」


「それは悲しいことなの?」


「とても悲しいわ。しかも、その人には他に相手がいて

わたし、ふたりのことが憎くてたまらない」


おにいちゃんたち、この人のおかげでもっと元気になるんだろうな


いいな、ぼくもエネルギーがほしい


「どうやったら涙がでなくなるの?」


「わたしが幸せだったら、ずっと笑っていられるのに」


「どうしたら、幸せになれるの?」


「それは...、満ち足りていたら、かな」


「おねえちゃんに名前はある?」


「もちろんあるわ」


「おねえちゃんには役割がある?」


「うーん、仕事をしているということなら」


「ぼくにはないの、なにも。あ、おにいちゃんはいるよ

ほかはなにもない。ただ、存在しているだけ」


「それだけでも、十分幸せなんじゃないかな」


「じゃあ、おねえちゃんはぼくより多くのものを持っているから

もっと幸せなんだね!」


「そう、なのかな?」


「幸せな人が幸せを探してもみつからないよ

おねえちゃん自身が幸せなんだから」


涙が流れなくなったのと同時にぼくに力がみなぎってきた


もしかして、これがぼくの性質なのかも!


「おねえちゃん、おねえちゃん!いま、どんな感情?」


「え、うーん。よくわからないわ」


「幸せ?幸せなの?」


「あ、うん?…そうなのかも」


ぼくは「幸せ」の性質だったんだ!


なんて素晴らしいんだろう


あ、でも ぼくの役割が増えたら おにいちゃんたちは元気がなくなるな


ま、仕方ないか ぼくのほうが優れているんだもん


人間世界を豊かにするのは ぼくの役割なんだ!


なにか言い合いが聞こえるな ぼくが入って「幸せ」にしてこよう


「ふたりとも、どうしたの?」


「この人はいつもそう。家のことわたしのこと何も知らないで文句ばかり」


「誰のおかげで生活できてるとおもってるんだ!お前1人じゃ無理だろ」


「ひどいわ。なんて、傲慢な人なの!」


あれ、おかしいな。力がみなぎってきた