• 秋月 偲希

かけられた魔法

生きているはずなのに

生きてる心地がしないのはなんのせい?

悪魔がつくった液体のせい。


いくつになったら、お酒が上手に飲めるのかしら。

どうしても、精一杯飲んでしまう。

そして翌朝、後悔から始まる。

身体に纏わりつくような甘ったるいアルコールのニオイ。

寝汗から、アルコールが抽出できそうな勢いだ。

シャワーも浴びても、どこからか香る昨日の飲んだお酒。


わたしの場合は、お酒の味が好きというよりはお酒の場所が好きだ。

ワインが特別に好きだ、ハイボールしか飲まないというわけでもなく、

その料理と相性の良いお酒を好む。

お酒×食事の組み合わせがワクワクさせてくれる。


組み合わせで思い出した。

1年でもっとも暑い日のニュースでよく流れる光景。

動物園の白くまにプレゼントされている氷。

必死でかぶりついてる姿が愛らしい。

中には、リンゴやまるごとパイナップル、さらに馬肉やソーセージなども

ごちゃ混ぜにはいっている。

酢豚にパイナップルが無理な私は、それを食べている白くまを

眉間にしわを寄せながら眺めていた。

そんな話はさておき、

だんだんと陽気にさせてくれる、あの空間。

グラスが空になっていくたびに、声がでかくなるおじさん達。

カラフルな液体を注ぐうちに化粧が崩れていく女性達。


イソップ寓話の「北風と太陽」の太陽にように、

アルコールが次々に心の鎧を脱がしていく。


鎧を忘れて帰るものだから、

ひとりで夜道を歩いているとなにもない光景がとても美しいものに見えたりする。

空に輝く月に、一生懸命鳴く虫たちに、風でそよぐ木々たちに、

笑いながら涙を流す。

「あぁ、わたし生きてるんだ」って思える。


気分よく帰り、ベッドにダイブ。


そして、一行目に戻る。