• 秋月 偲希

【サンタさんみっけ】

ケーキ屋さんの賑わい、ケンタッキーに並ぶ人、ピザ屋さんのバイクがやたら目に付く。


行き交う人たちも、浮ついていたり沈んでいたり。


いつもとはどこか違う平日。


そう、今日はクリスマスだ。


サンタさんはどこにいるのだろう。


小さい頃サンタさんに手紙を書いて、クリスマスの日に枕元にプレゼントが置いてあるのを楽しみにしてる人も多かっただろう。


わたしもクリスマスに近づくと、良い子にしていた。


「セーラームーンの人形が欲しい」と手紙に書いたのを覚えている。


手紙を書いてからは、掃除・洗濯・皿洗いなどの家事を積極的にした。


お母さんの手伝いをし、サンタさんに良い子アピールをしていた。


そして、わたしはクリスマスを楽しみに待った。


クリスマス当日、枕元をみた。


しかし、サンタさんは来ていなかった。


もしかしたら間違って違うところに置いているのかもしれない!


そう思い、すぐさま母のもとへ走った。


「サンタさんからのプレゼントは?」


そういうと母は、スッと自分の部屋にむかった。


「(なんだ、間違ってお母さんのところに置いたんだ)」


ほっとしていると、母はプレゼントではなくて自分のカバンを持ってきた。


「(あれ?あ、そうか。サンタさんは大きな靴下と間違って、お母さんのカバンのなかにいれちゃったんだ!)」


それも違った。


母はカバンのなかから財布を取り出すと、わたしに五千円札を渡した。


「これで買えるでしょ?」


「…。」


なにも言えなかった。


わたしは五千円札を握りしめ、デパートに行きセーラームーンの人形をゲットした。


母は現実的だ。


幼いわたしに早くも社会の構造を教えてくれた。


働いたらお金がもらえることを。


クリスマスまでの手伝いは、わたしの初めての職歴となった。