• 秋月 偲希

【可能性の世界】

「もし」が口癖のカバさんがいました。

カバさんは有名な小説家になるんだといつも言っていました。


ある日、鳥さんがカバさんの近くにやってきていいました。

「小説はどんだけ進んでいるんだい?」

カバさんは言いました。

「今は、ちょっと忙しいから出来てないんだ。

 もし時間さえあればとてもいいものが書けるんだけどな。」


少し月日が経ち、鳥さんがカバさんに尋ねました。

「やあ、カバさん。小説は書けたかい?」

カバさんは言いました。

「なかなか小説をかくいい場所がないんだ。

 もし環境がよければすぐにでも書けるんだけどね。」


5年後、鳥さんはカバさんと出会い声をかけました。

「久しぶりだね!小説家にはなれたかい?」

カバさんはいいました。

「家族がいるから、今はそれどころじゃないんだ。

 もし自由になんでもできたら、なれてるんだけどね。」


10年後、鳥さんはばったりカバさんと会い、話をしました。

「どうだい、小説家のほうは」

カバさんは怒りました。

「もう若くないんだ!そんなことできるわけがない!

 もし若かったら、有名な小説家になってるはずだ!」


鳥さんは思いました。

カバさんは、誰かの反応で才能を否定されるのが怖くて、

今までなにもしてこなかったんだと。

自分はやれば小説家になれるという希望のなかで生きているんだと。