• 秋月 偲希

生粋の雨女が虹をみる

飛行機の欠航からはじまった旅行。

先行きが不安で仕方なかった。

二泊三日の離島、女4人旅。

はじめて長時間過ごすことになるお姉さま達ばかり。

一番年下の私は、

旅のスケジュールやスポット探しなどに労力をかけた。

海のキレイな離島なので、

晴れていないとなかなか満喫できない。

一応、雨でも遊べるところも探したが

全体の5%くらいしかなかった。

「雨だと楽しめないねー」

と、一時は中止になりそうだったのだ。

私は並々ならぬプレッシャーを感じていた。

それは、小・中・高の修学旅行はすべて雨

遠足や、運動会、旅行、はじめての海外旅行も雨

ましてや、曇りのときは私が外にでると

雨が降ってくるといった生粋の雨女だからだ。

あえて、それを彼女たちには公表せず、

ソワソワしながら当日を迎えたのであった。

一週間前から天気予報は度々チェックしていたが、

サイトによって、雨や晴れと予報が全く違うではないか。

2日前から、あえてみないで天気のことばかり考えていた。

当日。

朝早く、空港に集合。

連休中なのにこんなに人がいないものなのか。

クエスチョンマークを頭のうえに掲げながら、

グランドスタッフのお姉さんのところへむかった。

「申し訳ございません。この便は欠航となりました。」

きっと、もっと丁寧な言葉で伝えられたのだと思うが

頭に掲げたクエスチョンマークが急に増えすぎてよく覚えていない。

振替はありますかと尋ね、「明日になるかと…」と言われたときは

クエスチョンマークがビックリマークに変わり、やっと事の重大さに気づいた。

なんとかなりませんか、とうるうると訴え続けると

乗り継ぎで離島へ向かう当日の便がみつかった。

当初は昼に着く予定だったが、夕方につく飛行機に変更された。

ほっとした。

明日じゃなかっただけ、しかも、夕方までに着くのだから万々歳だ。

ほっとしたのも束の間。

離島へ降りる数分前のアナウンスで

「現地のお天気はあいにくの雨です。」と流れてきた。

それが聞こえていなかったのか、ひとりのお姉さまが

「わー、すっごい晴れてるね」なんて満面の笑みでこっちをみた。

雲の上だもんなーと思いながら、「そうだね」と返した。

少しでも幸せな気分を味わっていてほしい。

そして、信じていれば晴れる!といった空に向かった、私のささやかな抵抗だった。

ゴゴゴゴゴゴゴ-ッと地上に降り立つ音をきいて、ウトウトがなくなった。

窓の外をみてみると、太陽が雲のすき間からこっちをうかがっているではないか。

地面はしっかりと濡れているから、雨は降っていたのだろう。

けれども、青空がちらほら。

飛行機に乗ってどんな人がやってきたんだろう。と太陽が気にしてくれているみたいだった。

熱帯気候で広大なビーチやサンゴ礁がある日本のリゾート地。

私たちは、この離島に歓迎されたようだ。

そして、うちなーんちゅと呼ばれる、この離島の住人さんにも歓迎されたのだった。

夜、有名な民謡ショーをしてくれるライブ居酒屋へいった。

三味線や太鼓で聴いたことのある島の音楽が流れる。

少し遅めの食事だったので、最後に私たちだけとなった。

そこに、お店の常連さんがやってきて、観光客の私たちを見るや否や

「島の夜を案内したげる」とお誘いいただいた。

4人とも決してお酒は〝弱いほうではない〟ので、島の夜の街を楽しくさまよった。

1軒目2軒目…、何軒いくのだろうと疑問に思いながら夜が更けてゆく。

3軒目、4軒目と周りをみると、いつの間にか人が増えていた。

地元の人、観光客、お店の人、初対面なはずなのに初対面なんてここには存在しなかった。

みんな何かで繋がっている。不思議な感覚だった。

夜の終わりを迎えた。

見知らぬ友達とお別れをし、私たちもホテルへ戻った。

旅行の間、なんとすべて快晴。海も川もありったけ楽しめた。

おまけに虹もみれるなんて。

はじめの不安なんて、これっぽちも思い出すことができなくなっていた。

帰りの飛行機では、体力も気力も使い果たしていた。

なんとか家にたどり着き、鏡をみた。

そしたら、竜宮城からもらった玉手箱を一瞬だけ開けてしまったような姿だった。