• 秋月 偲希

階段をのぼってみる

夏がいる。

うだるような暑さ。

なにもしてなくても汗がつたう。

ぴたっと身体に纏わりつく布が鬱陶しい。

なにをするにも億劫になってしまうのだ。

けれども、そんな夏でも好きなことがある。

それは、行き先を決めずに電車に乗って外の景色をみること。

はっきりとした空がキレイ。

浮きあがってくるかのような街並み。

すべてが美しくみえる。

電車に乗っていると、自分が子どもになったかのようにワクワクする。

うん。わたしは子ども。

わがままで気まぐれ。

好き勝手に生きている。

そんなことを考えていると、切符を子ども料金で買ってしまっていた。

駅員さんに変えてもらおう。

『すみません。大人にしてもらっていいですか?』